トランプ大統領と習近平国家主席の電話会談後、TikTokの米国事業売却に関する合意が成立したと、トランプ大統領が自身のソーシャルメディアで発表しました。しかし、具体的な合意内容については不明な点が多く、中国政府からも公式な発表はまだありません。
報道によると、オラクル、シルバーレイク、アンドリーセン・ホロウィッツを中心とした投資グループがTikTokの米国事業の約80%の株式を取得する見込みです。オラクルは引き続き米国内のサーバーでユーザーデータの保管を担い、新しい米国主導の企業はバイトダンスからライセンス供与された技術を用いて、TikTokと同様のレコメンドアルゴリズムを使用するとのこと。バイトダンス側は中国のSNSで、中国の法律に従って関連作業を進め、米国ユーザーへのサービス継続を目指すとの声明を発表しています。
ホワイトハウスは、この合意について詳細を明らかにしていませんが、トランプ大統領は10月末のAPEC首脳会議で習主席と再び会談し、その際に詳細が公表される可能性を示唆しています。また、この取引においては、副大統領が重要な役割を果たしたとも述べています。
2020年にトランプ前政権が始めたTikTokへの規制強化は、バイデン政権下でも継続され、2024年4月にはPAFACA法が成立。TikTokは中国との関係を解消するか、米国でのサービス停止を迫られました。期限直前に一時サービス停止となったものの、その後再開しています。トランプ大統領の再選後、その姿勢は転換し、TikTok存続を強く主張、PAFACA法の期限も何度も延長しています。今回の合意は、この法律の要件を満たす可能性があると専門家は指摘しますが、期限延長の違法性や、罰金未徴収など、疑問点も残っています。
一方、この合意が国家安全保障上の懸念を解消するとは限らないとの見方もあります。所有権の変更だけでは、技術的な分離が不十分で、法律違反にあたるとする指摘も出ています。また、中国政府は、このTikTok合意と引き換えに、越境投資に関する障壁撤廃など、米国からの譲歩を得ているとも伝えられています。この取引が、バイトダンスや初期投資家にとって最善の結果とは限らないという見方も存在します。
Source: Donald Trump Is Saying There’s a TikTok Deal. China Isn’t