ヴァンパイア・ウィークエンドが、ニュー・ジャージー州モンクレアにある小さなウェルモント・シアターで4夜にわたる地元公演を行った。これは、シンガーでギタリストのエズラ・コーエンとドラマーのクリス・トムソンが育った場所で、彼らの「Only God Was Above Us」ツアーの一環だ。
マディソン・スクエア・ガーデンでの公演とは対照的に、今回はより親密な雰囲気の中、バンドは代表曲「Unbelievers」、「Holiday」、「One (Blake’s Got a New Face)」などをローファイなアレンジで披露。会場全体が一体となって歌い上げる光景は、彼らの初期の鋭い感性を想起させた。
その後、5人の追加ミュージシャンと共に、ニューアルバム「Only God Was Above Us」からの曲を演奏。大所帯となったことでサウンドは厚みを増したが、エズラのボーカルはやや聴き取りにくくなった部分もあった。しかし、追加のドラムセットやギターは楽曲に豊かなテクスチャを与え、複雑なアレンジにも十分に対応していた。
2時間以上に及ぶ公演の約10曲目あたりから、バンドはぐっとリラックスした雰囲気に。2019年の楽曲「Sunflower」では、グレートフル・デッドの影響を感じさせるジャムセッションを展開し、観客を魅了した。こうしたジャムセッションは、他の楽曲にも新たなエネルギーをもたらし、「Harmony Hall」でのピアノの華麗なソロや「Cousins」でのサックスのソロなどが印象的だった。
何度も演奏されてきたヒット曲にも、新鮮な解釈が加えられ、聴き慣れた曲に新たな魅力が生まれていた。多くのミレニアル世代をファンに持つバンドが、アルバム記念ツアーで懐かしさを演出することに終始する中、ヴァンパイア・ウィークエンドは単なるノスタルジア・バンドではない。彼らは、共に歳を重ねていける価値のあるバンドなのだ。



