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AI企業の罪と代償

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マシュー・プリンスという名前は、一般の人には馴染みが無いかもしれません。しかし、彼の仕事を知らない人はいないでしょう。彼はCloudflareの共同創設者兼CEOです。2010年に設立されたこのインターネットインフラ企業は、ますますインターネットの「ボディガード」としての役割を担っています。悪質なトラフィックをフィルタリングし、サイトの安全を確保し、アクセスが集中してクラッシュするのを防ぎます。DDoS攻撃からもサイトを守ります。2017年には、白人至上主義サイト「デイリー・ストーマー」との関係を断絶したことで大きな話題となりました。

デイリー・ストーマーとの関係解消は、中立の立場を長年主張してきたCloudflareにとって大きな転換点となりました。プリンスはCloudflareの運営方法を常に進化させています。7月には、不正なAIスクレイピングをブロックする新しいツールを発表しました。これは、AIプラットフォームがサイトのコンテンツにアクセスしたい場合、料金を支払う必要がある「ペイ・パー・クロール」モデルを効果的に作成します。

プリンスは、インタビューの中で、出版業界、古いインターネット、そして彼が理想とする未来のウェブについて語りました。彼のビジョンでは、OpenAIがコンテンツのNetflixになる可能性があるとのことです。

彼は幼少期からテクノロジーに興味を持っていたわけではなく、祖母からプレゼントされたApple IIがきっかけだったと述べています。大学では英文学を専攻し、コンピュータサイエンスを副専攻。その後、法科大学院に進学しますが、インターネットの可能性に気づき、法曹界を離れ、Cloudflareを設立しました。

Cloudflareの当初のミッションは、クラウド上のファイアウォールを提供することでしたが、現在はインターネットの速度向上とセキュリティ強化を包括的に目指しています。AIによるコンテンツスクレイピング問題に対処するため、コンテンツ制作者に報酬を支払うシステム構築を提唱し、そのためのツールを提供しています。これは、検索エンジンから回答エンジンへと移行するインターネットにおいて、新しい価値交換モデルを確立するための重要なステップだと彼は考えています。

また、世界中で起こるインターネット遮断についても言及。特に、学校における不正行為防止を名目とした遮断が、貧富の格差を拡大していること、そしてその技術が政治的な弾圧にも利用される可能性を懸念しています。

インタビューの最後には、彼が将来懸念していること、そして期待していることを語っています。インターネットのビジネスモデルの崩壊と、それに伴うコンテンツ創造の衰退を最大の懸念事項として挙げつつも、AIによる人間の知識の体系化と、それを活用した新しいコンテンツ価値創造モデルへの期待を語りました。彼は、Redditのようなユニークなコンテンツを持つプラットフォームが、新しいウェブ経済において優位に立つと予測しています。

Source: Matthew Prince Wants AI Companies to Pay for Their Sins

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