英国政府は、不正行為対策に特化した新たな人工知能ツールのおかげで、過去1年間に約5億ポンド(約850億円)の公金を回収することに成功しました。BBCが入手した情報によると、この金額は政府の反不正チームによる年間回収額として過去最高を記録しています。
回収された資金の3分の1以上は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中の不正行為に関連しており、残りは不正な市町村税の請求や公営住宅の違法な転貸などによるものです。パンデミック時の不正行為で失われた公金は70億ポンド以上と推定されていましたが、今回回収された1億8600万ポンドは、そのごく一部に過ぎません。
具体的には、潜在的な不正融資の疑いのある数十万社もの企業の解散を阻止するなど、様々な不正行為が摘発されました。例えば、架空の会社を設立し、融資を受けた金をポーランドに送金した女性の事例も明らかになっています。
この成功を支えたのは、「Fraud Risk Assessment Accelerator」と呼ばれるAIツールです。このツールは、政府各省庁が保有する情報を照合し、不正リスクを特定します。さらに、新たな政策や手順が策定される前に、その脆弱性を分析し、不正を未然に防ぐ機能も備えています。
政府は、このAIツールをアメリカ、オーストラリアなど他国にもライセンス供与すると発表しました。しかし、過去には福祉不正対策に使われたAIツールに偏りがあることが指摘されており、AIの利用拡大には懸念の声も上がっています。
回収された資金は、看護師、教師、警察官の採用などに充てられる予定です。政府は最先端技術を活用することで、国民の税金を不正から守り、詐欺師の利益にならないよう努めると強調しています。
Source: AI tool helped recover £500m lost to fraud, government says