世界有数の企業価値を誇るNVIDIAが、苦境にある米インテルに50億ドルの投資を行うと発表し、業界に衝撃が走りました。この発表を受け、インテルの株価は30%以上も急騰しました。
今回の投資は単なる資金援助にとどまりません。両社は製品開発においても連携を深めることを明らかにしています。インテルは発表文で、自社のCPUとNvidiaのAI・高速計算技術をNVLinkでシームレスに接続すると説明。これは、CPUとGPU間のデータ転送速度を飛躍的に向上させる技術です。
インテルのタンCEOとNvidiaのフアンCEOは、共同でデータセンターやPC向けカスタムチップを開発すると意気込みを語りました。特にフアンCEOは、この提携によって72個のGPUとカスタムCPUを組み合わせたラックアーキテクチャシステムのスケールアップが可能になり、個人向けデバイス市場への進出も加速すると強調。年間1億5000万台にのぼるノートPC市場に、両社の技術を融合した革新的なSoC搭載製品を提供することで、新たな市場を開拓できると期待感を示しました。フアンCEOは、この提携による年間売上機会を250億~500億ドルと推定しています。
この発表は、アメリカ政府がCHIPS法に基づきインテルに数十億ドル規模の投資を行った直後というタイミングにも注目が集まります。政府はまた、輸出規制の見直しも行なっており、Nvidiaを含む半導体メーカーへの影響が懸念されていましたが、今回の提携はそうした状況下での新たな一歩と言えるでしょう。
フアンCEOは、今回のNvidiaとインテルの提携はトランプ政権とは無関係であり、約1年前から水面下で交渉が進められていたと説明。一方で、アナリストからは、この投資によってNvidiaがアメリカ政府との関係強化を図ったとの見方も出ています。また、インテルのファウンドリサービスについては、今回の発表では言及がありませんでしたが、両CEOは今後の可能性について含みを持たせた発言にとどめました。
フアンCEOは、今回の投資について「インテルにとっても、Nvidiaにとっても素晴らしい投資になるだろう」と自信をのぞかせ、タンCEOもインテルの財務基盤強化と戦略的提携推進に意欲を示しました。この両社による異例の提携が、半導体業界にどのような変化をもたらすのか、今後の展開に注目が集まっています。
Source: Jensen Huang Wants You to Know He’s Getting a Lot Out of the ‘Fantastic’ Nvidia-Intel Deal



